日本看護科学会誌
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原著
腎移植患者の自己管理行動がQOL,生体データ,医療費に及ぼす影響:
1年間の前向きコホート研究
池田 直隆河野 あゆみ
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2020 年 40 巻 p. 439-447

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抄録

目的:腎移植患者の自己管理行動がQOLと生体データと医療費に及ぼす影響を1年間の前向きコホート研究で明らかにする.

方法:腎移植患者225名に,自記式質問紙調査を実施した.自己管理行動の評価に腎移植患者自己管理尺度,健康関連QOLの評価にSF-12を測定した.電子カルテデータより,分析対象者の基本属性と生体データを把握し,レセプトデータの診療報酬請求情報から医療費を算出した.

結果:分析対象者132名のうち,役割/社会的QOL得点(F(1, 50) = 14.85, p < .001)とトリグリセリド値(F(1, 61) = 9.83, p < .001)において自己管理行動と時期の交互作用を有意に認めた.医療費では,自己管理高群が有意に外来行為明細点数料を削減していた(F(1, 123) = 4.06, p = .044)が,外来医療費総計と医療費総計では有意な差はなかった.

結論:腎移植患者の適切な自己管理行動がQOLの向上と生体データの維持に効果を及ぼすことが示唆された.

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© 2020 公益社団法人日本看護科学学会
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