2020 年 40 巻 p. 602-610
目的:本研究では,実践に比して学術的な関心が当てられてこなかった,病院での明確な意思の確認が困難な終末期高齢者の看取りについて,看護師のEOLC実践における家族支援のプロセスを記述した.
方法:協力が得られた3府県4病院に勤務する看護師19名に高齢患者の看取りの経験について半構造化面接調査を実施し,質的に分析した.
結果:EOLC実践における家族支援のプロセスは,〈病棟の医療チームからEOLCに対する承認や理解を得る〉,〈家族が患者の死(いのちの終わり)を受容できるよう家族の価値観に働きかける〉,〈ケアや看取りに対する家族の評価により家族支援を評価する〉で構成された.
結論:看護師は,病棟内でのコンセンサスのもとでEOLC実践を計画し,治療優先からEOLC実践への転換,展開ができるように家族の価値観に働きかけ,家族と共にEOLC実践ができるようにしていた.