日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
原著
日本語版Nurses Workplace Scale(JNWS)の開発と検証:看護師における被抑圧者集団行動の測定
末武 友紀子安部 陽子
著者情報
ジャーナル フリー HTML
電子付録

2026 年 46 巻 p. 296-306

詳細
Abstract

目的:日本語版Nurses Workplace Scale(以下,JNWS)を開発し,妥当性・信頼性を検証する.

方法:12項目のNWSを和訳し,Web質問紙調査で得た看護師306名の回答を用いて項目分析,α係数の算出,確証的因子分析を行った.再テストデータによる214名の回答を用いて重み付けκ係数・級内相関係数の算出,Bland-Altman検定をした.

結果:モデル比較の結果,8項目2因子構造で,確証的因子分析のモデル適合度はCFI = .989,RMSEA = .023,SRMR = .043であった.内的整合性はα = .67,信頼性は重み付けκ = .52,p < .001,ICC(1, 2)= .51,95%CI[.41, .60],Bland-Altman検定は有意差はなかった.

結論:JNWSは一定の妥当性と信頼性を有し,日本の看護師の抑圧の調査に活用できる.

Translated Abstract

Aim: This study aimed to develop a Japanese version of the Nurses’ Workplace Scale and evaluate its validity and reliability.

Methods: The original 12-item Nurses Workplace Scale was translated into Japanese. Responses from 306 nurses obtained through a web-based survey were analyzed using item, Cronbach’s alpha and confirmatory factor analyses. Test-retest reliability was assessed using retest data from 214 nurses by calculating weighted kappa coefficients, and intraclass correlation coefficients, and performing Bland-Altman analysis.

Results: The model comparison indicated an eight-item, two-factor structure. Confirmatory factor analyses demonstrated a good model fit (CFI = .989, RMSEA = .023, SRMR = .043). Internal consistency was acceptable (α = .67), and reliability was supported by a weighted kappa of .52 (p < .001) and an intraclass correlation coefficient (1, 2) of .51 (95% CI [.41, .60]). The Bland-Altman test showed no significant differences.

Conclusion: The Japanese version of the Nurses’ Workplace Scale showed acceptable validity and reliability, supporting its use in assessing the oppression experienced by Japanese nurses.

Ⅰ. 緒言

看護師の被抑圧者集団行動(Oppressed Group Behavior,以下OGB)は,教育学におけるFreire(1970/2018)の抑圧理論を基盤にした概念である.看護師のOGBの例は,臨床において,看護師が医師の過大な要求を受け入れ,その医師がいなくなった後で不満を言う行動や,看護管理者が会議の場では発言せずに会議が終わってから苦情を言う,看護師が看護師に対して攻撃するといった行動である.これらは,職業,地位,性別に付随するパワーをもつ個人や集団,社会制度,医療制度等により抑圧された看護師個人または看護師集団が示す行動で,権力が働く病院構造の中で男性や医師,看護管理者等の支配的な価値を内面化する特徴がある(Roberts, 1983DeMarco et al., 2007, 2008Purpora et al., 2012).

看護師は,歴史的に女性が担ってきたケアを仕事とする.OGBの背景には,そのような看護師に対して女性としての義務の遂行を期待する,看護師より優位な社会集団の観念による支配がある.そしてOGBは自尊心の低さや無力感を生む(Nemeth et al., 2017).Dubrosky(2013)はこの無力感を「自分自身の平和主義を最大限に発展させることができないこと,仕事において意思決定能力がないこと,そして,その人が占める地位のために無礼な扱いを受けること」と定義づけ,医師から命令を受け,反論する力もほとんどない看護師が多くの仕事で意思決定能力を欠いていることを指摘した.

これらのことから,OGBは看護師のリーダーシップを妨げる態度であり看護師達の中にある自己規制(武,2008),看護集団の「美徳的沈黙」(Buresh & Gordon, 2000/2002),「看護は目覚めないように統制されてきた」(中西,2015)といった事象に潜む.

OGBを測定する尺度は,英語版のNurses Workplace Scale(以下,NWS)である.NWSは,信頼性や妥当性が評価されていないKeen(1991)の42項目の「抑圧チェックリスト」を基に,米国のDeMarco et al.(2008)によって開発された.NWSは「Oppressed self・minimization of self(以下,抑圧された自己)」7項目と「Oppressed group・internalized sexism(以下,抑圧された集団)」5項目の12項目2因子で構成される.「抑圧された自己」は,自分の意見を率直に述べることを妨げる態度で,個人が自己主張したり,自分の意見を表明したりすることを妨げている態度,信念,経験,行動を反映する.「抑圧された集団」は,女性に対する否定的な態度や女性が集団としてとりがちな非効果的な行動を示す.尺度のCronbach α係数は0.81と適当な信頼性を有する.

先行研究では,OGBと水平暴力(同僚間,同職種間で起こる,態度,行動,言葉で示す攻撃的行動)との間に正の相関があり,看護師集団における水平暴力は患者ケアの質と安全性を低下させるという報告がある(Purpora et al., 2012).水平暴力は生産性の低下や離職につながる(Nemeth et al., 2017)ことから,OGBは職場環境と患者ケアに負のアウトカムを生む要素といえる.

しかし,これらはすべて国外文献の報告であり,日本の看護師のOGBに関する研究は見当たらず,OGBが日本の看護師にもみられるのかは明らかになっていない.そこで,本研究では日本語版NWS(以下,JNWS)を開発し,信頼性と妥当性の検証を行うこととした.本研究の意義は,日本の看護師の被抑圧性への示唆が得られること,看護管理者がそれらに関連する患者ケアの質,安全性や生産性の低下,離職といった負のアウトカムへの戦略を立てる上で役立つことである.

Ⅱ. 研究方法

1. NWSの翻訳および表面妥当性の検討

ISPOR(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research)タスクフォースによる報告書(Wild et al., 2005)のガイドラインに準じ,次の①~⑨を実施した.

①事前準備:NWSの開発者にメールで連絡し,JNWSの作成の許可を取得した.②順翻訳:翻訳業者に日本語を母語とする翻訳者2名の斡旋と順翻訳を依頼した.研究者から尺度の使用目的を翻訳者2名に説明した.尺度の使用目的について共通理解をした後,翻訳者2名がそれぞれ独立して英語を日本語に順翻訳した.研究者は翻訳業者,翻訳者が契約・指示・注意事項に従って作業を遂行しているか確認した.③順翻訳の統合:2つの翻訳を研究者2名で議論した上で統合し,暫定の日本語版とした.④逆翻訳:順翻訳の翻訳業者とは異なる翻訳業者に翻訳者の斡旋を依頼し,暫定の日本語版を英語に逆翻訳した.研究者は翻訳業者,翻訳者が契約・指示・注意事項に従って作業を遂行しているか確認した.⑤逆翻訳のレビュー:逆翻訳版を開発者にメールで送付し,NWSの英語と相違がある項目を尋ねた.その結果,NWSとの乖離の指摘はなかった.⑥調和:開発者の指摘はなく修正は不要とし,JNWS第1案とした.⑦認知デブリーフィング:JNWS第1案の認知的等価性を検討する目的で行った.合目的的サンプリングで募集した,日本語を母語とし,かつ,病院に勤務する看護師9名に対し,答えにくい表現,わかりにくい言葉や言い回し,その他何らかの引っかかりを感じた箇所を尋ね確認した.⑧認知デブリーフィング結果のレビューと翻訳終了:先述⑦の結果を踏まえ,研究者2名で議論し表現を修正した.⑨校正:誤字,脱字,文法的な間違いを確認後,NWSの翻訳および表面的妥当性の検討を完了し,JNWSを確定した.

2. 測定特性の検証

Patient-reported outcome measures(PROMs)を含む健康関連尺度の最適な選択と実用的な尺度を開発するためのガイドラインであるCOSMIN(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments)(Mokkink et al., 2019)に準拠した.

1) データ収集方法

 (1)研究参加者

適格条件は日本語を母語とし,かつ,医療施設に勤務する看護師とした.サンプルサイズは,テスト再テスト信頼性の検証は少なくとも100名(Kennedy, 2022)とし,構造的妥当性の検証は,COSMINの基準に沿って,「項目数×7かつ100名以上」(Mokkink et al., 2019)を目標とした.テストのみ回答し,再テストに参加しない脱落を50%と見込み(日本学術会議社会学委員会Web調査の課題に関する検討分科会,2020),Web調査会社の調査実績等を踏まえ,テストの研究参加者数を400名に設定した.欠損値が生じないよう全項目に回答後提出できる設計にした.

 (2)Web調査

Web調査会社が看護師モニター約9,000名にメールで調査への協力を依頼した.施設経由の募集では,日本では看護部長等の看護管理者を通して研究参加者に依頼が届く過程がある.看護管理者がもつパワーに逆らえないまたは従うことを疑わない被抑圧者が多くサンプリングされることを避けるため,その影響を受けにくいWeb調査を採用した.テストを実施後,1週間あけて同じ仕様で再テストを行い,納品されたデータを分析した.

2) 調査内容

 (1)基本属性

性別,年齢,婚姻,職位,看護師経験年数,医療施設,最終看護基礎教育歴,看護関連資格,病床数,所属部署,所属団体・学会を尋ねた.

 (2)JNWS

DeMarco et al.(2008)が開発したNWSと同じ12項目で構成されている.NWSと同様に5件法(「1:決してない(1点)」から「5:常にある(5点)」)で評価し,得点が高いほど,OGBを示しやすいと判断する.

3) データ分析方法

テストデータを用いて記述統計,推計統計,α係数,項目間相関等の確認,確証的因子分析を実施した.再テストデータはテスト再テスト信頼性の検証のみに使用した.被抑圧者集団では,「専門職間の権力差が抑圧された集団行動を引き起こす」(DeMarco et al., 2008)とされ,先行研究(DeMarco et al., 2008Purpora et al., 2012日本精神科病院協会看護・コメディカル委員会,2017)を踏まえ,若年群(基準年齢60歳),精神科群,所属団体なし群,専門・専攻・短大群,役職なし群,資格・認定なし群,男性群,未婚群で尺度得点が高いと考えた.それぞれの属性の尺度得点の平均をウェルチの片側t検定で比較し,有意水準は5%とした.精神科は男性の割合が多く,役職,婚姻,CN資格の有無は年齢の影響を受けると考え,交絡の可能性を検討した.一般線形モデルによる一変量分散分析を用いて,従属変数の「抑圧者の価値を内面化する看護師集団」因子,「沈黙する自己」因子,JNWS全項目それぞれにおいて群間差を検討した.説明変数として婚姻ダミー(既婚=1),CN資格ダミー(あり=1),役職ダミー(あり=1),教育歴ダミー(大学・大学院=1),所属団体ダミー(あり=1),所属部署ダミー(精神科=1)の6因子を設定し,交絡因子の影響を調整するために性別ダミー(男=1)と年齢(連続変数)を共変量として投入した.各因子の主効果を検定し,群間の平均値比較には推定周辺平均(以下,EMM)を用いて,効果量は偏η2を算出した.

統計解析はIBM SPSS Statistics 29.0,IBM SPSS Amos 29.0,Jamovi 2.6.44.0を用いた.

4) 評価基準

信頼性は,α係数,重み付けκ係数,級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficients: ICC)で評価した.内的整合性は0.60未満では低く(Gray & Grove, 2021),0.70以上が十分な値(Terwee et al., 2007)であり,信頼性の基準は少なくとも0.70以上,最良は0.80以上とした.モデル適合度指標は,良い測定特性の基準(Prinsen et al., 2018)に準じ,比較適合度指数(Comparative Fit Index, CFI)>0.95,適合度指数(Goodness of Fit Index, GFI),近似二乗平均誤差(Root Mean Square Error of Approximation, RMSEA)<0.06,赤池情報量規準(Akaike’s Information Criterion, AIC),標準化残差平方平均(Standardized Root Mean square Residual, SRMR)を用いた.さらに,χ2値の差異を用いてモデルを比較した.

3. 倫理的配慮

本研究は,日本赤十字看護大学の研究倫理審査委員会の承認(承認番号2022-055)を得て実施した.Web調査画面の最初に研究目的,調査方法,倫理的配慮等を記載し,調査への協力に「同意する」「同意しない」の選択肢から「同意する」をチェックしてもらうことで同意を得た.

Ⅲ. 結果

Web調査のため無回答率は0%,欠損値はなしであった.テスト参加者400名のうち医療施設勤務に該当しない94名を除外した306名(76.5%)を主要な解析の対象とした.テスト再テスト信頼性の検証は,再テストも回答した参加者287名(71.8%)のデータから,非医療施設勤務の73名を除外した214名(53.5%)を対象とした.

1. 基本属性(表1

平均年齢43.9(SD = 11.5)歳,性別は女性212名(69.3%),男性94名(30.7%)で,所属部署別の男女比は精神科病棟のみ男性(35名,71.4%)が女性を上回った.精神科病棟の男性は男性全体の37.2%を占めていた.看護師経験年数の平均は19.0年(SD = 10.7),婚姻状況は既婚215名(70.3%),職位は非管理職が240名(78.4%)であった.

表1 基本属性

n % n %
性別 婚姻
212 69.3 未婚 91 29.7
94 30.7 既婚 215 70.3
年齢 職位
20歳代 41 13.4 非管理職 239 78.1
30歳代 80 26.1 中間管理職1(部署の管理責任を担わない) 39 12.7
40歳代 74 24.2 中間管理職2(看護師長・部署の管理責任を担う) 20 6.5
50歳代 76 24.8 管理職(看護部長・総師長・副看護部長) 7 2.3
60歳以上 35 11.4 その他 1 .3
Range:23~67 M(SD):43.9(11.5) Mdn:44
看護師経験年数 医療施設
6年未満 37 12.1 特定機能病院 54 17.6
6~11年未満 54 17.6 地域医療支援病院 65 21.2
11~20年未満 84 27.5 その他の一般病院 142 47.1
20年以上 131 42.8 診療所 43 14.1
Range:1.0~45.9 M(SD):19.0(10.7) Mdn:17.0
最終看護基礎教育歴 病床数
専門学校 198 64.7 0床 39 12.7
高等学校専攻科 22 7.2 1~99床 54 17.6
短期大学 20 6.5 100~299床 98 32.0
4年制大学 63 20.6 300~499床 63 20.6
大学院修士課程 3 1.0 500床以上 52 17.0
大学院博士課程 0 .0 Range:0~1,025 M(SD):251(218) Mdn:200
看護関連資格 所属部署
認定看護師 29 9.5 内科系病棟 65 21.2
専門看護師 27 8.8 外科系病棟 31 10.1
特定行為看護師 8 9.8 内科外科混合病棟 10 3.3
診療看護師 30 9.8 地域包括ケア病棟 11 3.6
ファーストレベル 18 5.9 療養病棟 18 5.9
セカンドレベル 11 3.6 精神科病棟 49 16.0
サードレベル 2 .7 集中治療部門 7 2.3
認定看護管理者 3 1.0 手術部門 8 2.6
所属団体・学会 外来・検査部門 35 11.4
日本看護協会 190 62.1 救命救急センター(救急外来・救急病棟含む) 11 3.6
日本看護連盟 42 13.7 周産期センター(NICU・GCU・産科病棟含む) 3 1.0
看護系学会 16 5.2 看護部(管理部門) 10 3.3
その他の学会 20 6.5 医療安全部門 2 .7
所属していない 105 34.3 教育関連部門 2 .7
その他 44 14.4

2. 項目分析(表2

テストデータを用いて項目分析を行った.各項目の得点の範囲は1~5,平均値の範囲は2.16~3.42,標準偏差の範囲は0.98~1.24であった.平均値と標準偏差は,すべての項目で床効果,天井効果はなかった.項目間相関0.7以上の項目はなかった.項目間の関係性をみるために補正I-T相関分析を行った結果,その範囲は.34~.47(p < .01)であり,全項目で0.2以上(Johnson & Morgan, 2016)であった.

表2 項目分析の結果

項目内容 N test data % 補正I-T相関
Mean SD M – SD M + SD 1 2 3 4 5
Ⅰ:抑圧者の価値を内面化する看護師集団
1 「たくさんの女性と仕事をするのはとても大変だ」と言ったことがありますか. 306 3.03 1.24 1.25 3.43 16.0 16.0 28.4 28.1 11.4 .44 **
2 女性たちが意見を一致させることは不可能,またはとても難しいと思ったことがありますか. 306 3.42 1.03 1.50 3.58 4.6 13.7 31.0 36.9 13.7 .45 **
3 「自分の友人はほとんどが男性だ」または「女性はまったく信用できない」と言ったり思ったりしたことがありますか. 306 2.16 1.15 1.01 3.31 36.9 26.8 24.2 7.2 4.9 .45 **
4 「女性の上司よりも男性の上司の方がいつもよいと思っている」と言ったことがありますか. 306 2.34 1.09 1.79 4.27 26.8 29.1 32.0 7.5 4.6 .41 **
5 男性は女性よりも本質的にリーダーシップに優れていると思いますか. 306 2.54 1.04 2.39 4.45 19.6 24.8 40.5 11.8 3.3 .47 **
Ⅱ:沈黙する自己
6 「つまらない質問をして申し訳ないのですが…」や「よく分からないので教えてほしいのですが…」などのような言葉で前置きしてから話すことがありますか. 306 3.00 1.07 2.22 4.18 9.5 21.2 35.6 26.8 6.9 .38 **
7 褒められるのが苦手だと思ったことがありますか. 306 3.01 1.10 1.91 4.01 11.4 17.6 36.9 26.1 7.8 .34 **
8 自分はほめられることや褒美をもらうことに「値しない」と感じたり,そう言ったりしたことがありますか. 306 2.92 1.09 1.93 4.07 12.4 18.6 40.8 20.3 7.8 .35 **
9 いつも他人と自分を比較していますか. 306 2.96 1.05 1.91 4.11 9.2 20.9 42.8 19.0 8.2 .40 **
10 聞き手によって自分が話す内容を変えることがありますか. 306 3.37 0.99 2.38 4.36 4.2 13.4 34.6 36.3 11.4 .43 **
11 ある問題を引き起こしていると思われる当事者には面と向かって指摘はせずに,同僚に不満や愚痴を言ったことがありますか. 306 3.20 0.98 2.04 4.08 4.6 19.0 35.6 33.3 7.5 .38 **
12 あなたはある看護師に関する自分の意見(好意的な意見か批判的な意見かにかかわらず)を直接本人には言わずに他の看護師によく言っていると自分で思ったことがありますか. 306 3.06 1.02 1.83 4.01 8.2 18.0 39.9 27.8 6.2 .41 **

** p < .01 尺度全体のα係数 JNWS12 = .77 JNWS8 = .67

3. 構造的妥当性

1) 確証的因子分析

標本妥当性の検定を行った結果,KMO測度は.739,Bartlett検定は有意水準<.001であり,因子分析に適した標本であると判断した.次に,テストデータを用いて確証的因子分析をした.NWSと同じ2因子からそれぞれ該当する項目が影響を受け,すべての因子間に共分散を仮定したFirst-order factor model(付録1)はχ2 = 332.205,df = 53,p < .001,CFI = .692,RMSEA = .131,SRMR = .104であり,適合度は不良であった.修正指数と改善度から,潜在する変数が予測されるNo. 1とNo. 2,No. 7とNo. 8,No. 11とNo. 12の各項目間に共分散を示したモデル(以下,JNWS12)を検証した.その結果,χ2 = 105.939,df = 50,p < .001,CFI = .938,RMSEA = .061,SRMR = .066と適合度が改善した(図1).

図1  確証的因子分析の結果:JNWS12

本研究ではNWSに忠実にモデリングを試みたが,約20年前の調査であり,本研究参加者は日本人であるため,時間的文化的な違いがモデルの適合度に影響している可能性を考えた.そこで,項目保持の妥当性を再検討した.各項目の度数分布をみるとNo. 3の1の回答は113(36.9%)であり,回答1から3で87.9%を占め,回答の偏りから除外候補とした.相関行列の残差をみるとNo. 1~No. 2(.321),No. 7~No. 8(.413),No. 11~No. 12(.109)で高値であった.これらは,JNWS12の残差共分散を示したペアであった.No. 1とNo. 2は,女性もしくは女性の集団との仕事や意見の一致への困難さが,No. 7とNo. 8は,承認への抵抗感が,No. 11とNo. 12は他者への間接的な自己表現型が共通していた.これらのうちNo. 2とNo. 8は5つの項目間で,No. 11は3つの項目間で相関係数の残差は0.1を超えていたため,項目の除外候補とした.No. 2, 3, 8, 11を除外した8項目のモデル(以下,JNWS8)を検証した結果,χ2 = 22.153,df = 19,p = .277,CFI = .989,RMSEA = .023,SRMR = .043であった(図2).χ2値の差の比較では,First-order factor model,JNWS12,JNWS8の順に有意に適合度が改善された(表3).

図2  確証的因子分析の結果:JNWS8
表3 χ2値の差によるモデル比較

Model χ2 χ2/df χ2 p CFI GFI RMSEA SRMR AIC α
value df p
First-order factor 332.205 53 <.001 6.268 Ref .692 .826 .131 .104 382.21 .77
JNWS12 105.939 50 <.001 2.119 226.266 (3) * .938 .945 .061 .066 161.94 .77
JNWS8 22.153 19 .277 1.166 83.786 (31) * .989 .982 .023 .043 56.15 .67

* p < .001

2) 因子の命名

NWSでは下位尺度因子を「抑圧する集団」「抑圧する自己」と命名し,Freireの抑圧理論を用いて意味づけていた.本研究もそれに倣い,集団における抑圧者の価値の内面化に関する項目の第I因子は「抑圧者の価値を内面化する看護師集団」,自分の意見を率直に述べることを妨げる態度や行動に関する項目の第II因子は「沈黙する自己」と名付けた.

4. 信頼性係数

テストデータにおいてJNWS12はα = .77(I = .76, II = .71),JNWS8はα = .67(I = .61, II = .65)であった.テスト再テスト信頼性は,JNWS12では,重み付けκ係数.57,p < .001,ICC(1, 2)= .71,95%CI[.62, .78],Bland-Altman検定t(213)= 0.31,p = .8であった.JNWS8では,重み付けκ係数.52,p < .001,ICC(1, 2)= .51,95%CI[.41, .60],Bland-Altman検定はt(213)= –0.33,p = .7であった.

5. 最終モデルの決定

モデル適合度はJNWS8が最良である.JNWS12は修正指数に基づく誤差間共分散の追加によって適合度が改善したが,その方法についてHermida(2015)は,「縦断的研究で同じ構成の複数の測定値を使用する場合や指標変数が成分を共有する場合を除き,通常は偶然の恩恵を受ける不適切な慣行であり廃止すべき」と批判している.よって,JNWS12は過度に適合度が改善している可能性がある.信頼性係数は,COSMINが定める信頼性の測定項目である重み付けκ係数は両モデル0.5以上と大きな差はない.これらのことから,JNWS8を最終モデルとして採用した.

6. 基本属性によるJNWS8尺度得点の比較

1) 尺度得点の特徴

尺度得点の平均値と標準偏差を算出した.抑圧者の価値を内面化する看護師集団の尺度得点はM = 2.64,SD = 0.86,沈黙する自己の尺度得点はM = 3.08,SD = 0.65であった.全項目はM = 2.92,SD = 0.59であった.

2) 基本属性による尺度得点の比較(表4

平均尺度得点をウェルチの片側t検定で比較した.「沈黙する自己」において,役職なし群t(107.00)= 2.47,p = .008,d = .34,95%CI[0.04, 0.40],認定看護師(以下,CN)資格なし群t(36.04)= 3.71,p < .001,d = .65,95%CI[0.19, 0.65],女性群t(196.27)= 2.20,p = .014,d = .26,95%CI[0.02, 0.32]で有意差があった.全8項目では,CN資格なし群t(34.29)= 2.28,p = .014,d = .44,95%CI[0.03, 0.49]で有意差があった.

表4 基本属性による尺度得点の比較

JNWS8 I:抑圧者の価値を内面化する看護師集団 II:沈黙する自己 Total Items
Welch’s t検定 n Mean SD 95%CI p d Mean SD 95%CI p d Mean SD 95%CI p d
212 2.59 .84 –.36 .08 .104 –.16 3.13 .67 .02 .32 .014* .26 2.93 .59 –.09 .20 .231 .09
94 2.73 .92 2.96 .60 2.88 .59
60歳未満 271 2.66 .88 –.06 .47 .064 .24 3.10 .65 –.03 .43 .047 .30 2.94 .59 –.003 .40 .027 .34
60歳以上 35 2.46 .71 2.91 .63 2.74 .55
精神科以外 257 2.59 .84 –.01 .58 .027 .33 3.09 .65 –.25 .16 .319 –.07 2.90 .58 –.12 .27 .218 .13
精神科 49 2.88 .95 3.04 .66 2.98 .64
所属団体なし 105 2.76 .78 –.01 .37 .035 .21 3.12 .65 –.10 .21 .229 .09 2.98 .54 –.03 .24 .064 .18
所属団体あり 201 2.58 .90 3.06 .65 2.88 .61
専門,専攻,短大 240 2.65 .85 –.21 .29 .376 .05 3.07 .64 –.26 .12 .237 –.11 2.91 .56 –.21 .16 .379 –.05
大学,大学院 66 2.61 .92 3.14 .71 2.94 .69
役職なし 240 2.65 .87 –.18 .29 .310 .07 3.13 .65 .04 .40 .008** .34 2.95 .59 –.002 .32 .027 .27
役職あり 66 2.59 .85 2.91 .65 2.79 .59
CN資格なし 277 2.64 .86 –.37 .36 .484 –.01 3.12 .65 .19 .65 .000*** .65 2.94 .59 .03 .49 .014* .44
CN資格あり 29 2.64 .93 2.70 .57 2.68 .58
未婚 91 2.69 .93 –.14 .30 .245 .09 3.17 .71 –.04 .30 .069 .20 2.99 .66 –.05 .26 .084 .19
既婚 215 2.61 .83 3.04 .63 2.88 .56
GLM n EMM SE 95%CI p η2 EMM SE 95%CI p η2 EMM SE 95%CI p η2
精神科以外 257 2.64 .10 2.44 2.84 .073 .01 2.93 .07 2.78 3.08 .624 .00 2.82 .07 2.69 2.96 .186 .01
精神科 49 2.90 .16 2.60 3.21 2.98 .12 2.75 3.21 2.95 .11 2.74 3.16
所属団体なし 105 2.86 .13 2.60 3.12 .106 .01 2.96 .10 2.77 3.16 .863 .00 2.92 .09 2.75 3.10 .313 .00
所属団体あり 201 2.69 .11 2.47 2.90 2.95 .08 2.79 3.11 2.85 .08 2.70 3.00
専門,専攻,短大 240 2.80 .11 2.58 3.02 .627 .00 2.92 .08 2.76 3.09 .451 .00 2.88 .08 2.73 3.03 .804 .00
大学,大学院 66 2.74 .14 2.47 3.01 2.99 .10 2.79 3.19 2.90 .09 2.71 3.08
役職なし 240 2.79 .11 2.56 3.01 .833 .00 3.02 .09 2.85 3.18 .219 .01 2.93 .08 2.78 3.08 .338 .00
役職あり 66 2.76 .14 2.49 3.03 2.90 .10 2.70 3.10 2.85 .09 2.66 3.03
CN資格なし 277 2.73 .09 2.55 2.92 .664 .00 3.13 .07 2.99 3.27 .008** .02 2.98 .06 2.86 3.11 .117 .01
CN資格あり 29 2.81 .17 2.47 3.15 2.78 .13 2.53 3.04 2.79 .12 2.56 3.03
未婚 91 2.80 .13 2.53 3.07 .634 .00 2.98 .10 2.78 3.18 .586 .00 2.91 .09 2.73 3.09 .526 .00
既婚 215 2.74 .11 2.53 2.96 2.93 .08 2.77 3.10 2.86 .08 2.71 3.01

Note.CN:認定看護師,EMM:推定周辺平均,GLM:一般線形モデル(年齢・性別を共変量に設定)* p < .05 ** p < .01 *** p < .001

3) 交絡因子の検討

性別および年齢を共変量として投入した一般線形モデルによる分析の結果,「抑圧者の価値を内面化する看護師集団」および全8項目においては,検討したすべての説明変数において有意な主効果は認められなかった.一方,「沈黙する自己」においては,CN資格の有無による主効果が有意であり(p = .008,偏η2 = .02),EMMを比較したところ,CN資格なし群(EMM = 3.13)はCN資格あり群(EMM = 2.78)よりも有意に得点が高かった.

Ⅳ. 考察

1. 対象者の代表性

対象者の平均年齢は43.9(SD = 11.5)歳であった.これは,2019年病院看護実態調査の看護職員平均年齢40.5歳と概ね一致する(日本看護協会,2020).60歳未満の看護師は93.7%(厚生労働省,2024)であり本研究の88.6%と同程度であった.婚姻状況は,2017年看護職員実態調査の未婚31.7%,既婚(離死別含む)68.0%に対して,本研究では未婚29.7%,既婚(離死別含む)70.3%と同等であった(日本看護協会,2018).一方,性別は男性が30.7%と,日本の病院で就業する男性看護師割合10.7%を大きく上回り,精神科病棟の男性割合が影響した.役職の有無は,看護管理職比率7.5%(産労総合研究所,2015)に対して本調査は21.9%と約3倍であった.医療・福祉の管理職比率5.9%(塚越,2025)と比べても高い.一部代表性を示さない点があることから,得られた結果を一般化するのは慎重さが必要である(Gray & Grove, 2021).今後,調査を重ねJNWSを精緻化するためには,母集団の実態を示すデータが必要である.研究者が看護師個人を無作為抽出できるリストやそのリストを活用できる仕組みの構築が望まれる.

2. 項目分析

No. 3は最も平均得点が低かった.「自分の友人はほとんどが男性だ」と「女性はまったく信用できない」の2つの論点を含むdouble-barreled questionであり,「女性よりも男性を好ましいと思う」場合に得点が高くなる.回答の偏りから,回答者の多くは否定的な意見を示したといえる.日本の看護師集団における価値観は,西洋の善か悪かの二項対立ではなく関係する一人ひとりを尊重し「和」を重んじる(小西ら,2007).そのため,男女で信頼性を区別する極端な表現は日本文化的に適さなかったと推察した.また,同一国内では,異性友人の割合がジェンダー平等への支持との相関がある(Bailey et al., 2025)ことから,性別役割分業観が強い日本では,女性よりも男性を好む女性という印象が社会的望ましさバイアスを生じさせる可能性がある.男性の場合,友人がほとんど男性であることは女性よりも当てはまりやすく,高い得点を得やすいと考えた.したがってNo. 3の除外は妥当である.No. 11とNo. 12は自己表現に関する類似の項目であるため項目間相関が強くなったと考えた.No. 11は不満や愚痴等の否定的な態度を尋ねており攻撃性を含む.No. 12は好意的か批判的かに関わらずその行動の有無と自覚を尋ねているため,間接的自己表現が主体で,受動的攻撃を包含する.Freireの抑圧理論では,被抑圧者による水平暴力は重要な概念であり,抑圧の概念を構成する要素として,Young(1990/2020)は暴力をあげている.No. 11は直接的な攻撃として暴力を測定しやすい.しかし,日本の看護師にみられる陰口や仕事量の差別,情報遮断(日本医療労働組合連合会,2023)等の受動的攻撃は無力感を強化する行動(Roache, 2024)であり被抑圧者の特徴に当てはまる.その行動は直接的に積極的に関係性を壊そうとしない曖昧さをもつ.ネガティブな意味で「和」を保とうとする日本の看護師の特徴はNo. 11よりもNo. 12の方が捉えられると考えた.以上のことから,項目分析の視点ではJNWS8の項目選択は適切であると判断した.

3. 構造的妥当性の検討

1) モデルの適合度

確証的因子分析では,NWSと本研究で得られた各因子は構成概念が一致した.したがって,NWSと同様の構成概念をもつ2因子構造であることが示された.

2) 下位尺度の意味

「抑圧者の価値を内面化する看護師集団」を構成する3項目には女性の劣勢性が共通していたことから,看護師個人がもつ女性や女性集団に対する性差別的な価値や信念を測定できる.「沈黙する自己」の5項目は,自己主張せず自分の価値を最小化する行動を測定できる.No. 12は自分の主張を他者に伝えてはいるが,その主張対象は第3者である.これは,アサーティブネスにおける攻撃的表現,非主張的または間接的攻撃的表現(渋谷ら,2007)にあたる.したがって,この下位尺度は「当事者」や「本人」には自己主張できない看護師の行動を測定できる.

4. 信頼性の検討

α係数は,項目間の平均相関係数が一定であっても項目数が多ければ多いほど,より大きな値をとる(岡田,2015).したがって,JNWS12に比べJNWS8のα係数が低いのは,項目間相関の強い項目を削除し項目数が減った結果と捉えた.テスト再テスト信頼性の検討では,重み付けκ係数は.41~.60の範囲にあり,適度(Moderate)の一致(Landis & Koch, 1977)であった.ICC(1, 2)も適度の一致であり,Bland-Altman検定では有意差はなかった.再テスト信頼性は尺度に含まれる項目数が増えるほど上昇する傾向がある(小塩,2016).したがって,JNWS8の信頼性係数の低下は許容範囲であると判断した.

5. 基本属性における尺度得点の比較

性別や年齢の影響を調整した後においても,CN資格をもたない看護師は,CNに比べ「沈黙する自己」の傾向が強かった.これは,CN資格を持たない看護師が発言への自信を欠き,組織内で意見を述べることを控える傾向にある一方で,CNは沈黙を選択しない(専門的知見に基づき主張する)傾向にあることを示唆している.また,全8項目ではこの差が認められなかったことから,CNであることは組織集団の価値観の内面化を即座に変容させるまでには至らないものの,少なくとも個人の行動変容(沈黙しないこと)には寄与していると考えられる.その背景には,専門性による個人のパワーが影響していると推察される.2024年時点でのCN数は約2.5万人と,専門看護師の約7倍に達し,診療報酬上の評価や広告規制緩和による名称の掲示などから,CNは社会的認知度も高い.このように,専門性を有する看護師の多数派として,組織内外でケアのアウトカムを示し,その役割および活躍が期待・認識されてきた成功体験が,CN自身の価値を高め,沈黙を打破する要因となったと考えた.ただし,これらの結果は統計的には有意であるものの,偏η2の値から効果量は小さい.今後はサンプルサイズの拡大や,組織風土等の他の要因を含め,多角的に関連を検討する必要がある.

尺度得点の差において,先行研究(DeMarco et al., 2008)と同様の結果は示されなかった.先行研究が行われた米国では71.7%の看護師が学士号以上を取得し(Smiley et al., 2023),複雑化多様化する医療ニーズに対応するために2004年から大学院教育を推進してきた(American Association of College of Nursing, 2024).Durland et al.(2018)は「PhDやDNPをもつ看護師は他の教育レベルの米国看護師よりNWSの得点が低い」と報告し,Rocafort(2020)は,DNPやPhDが問題視する学士看護師の実践への不参加と,それによる看護専門職の弱体化を指摘している.日本の看護師の専門学歴は,看護師3年課程が52.2%で最も多く,看護系大学は18.5%,看護系大学院修士課程2.7%,博士課程は0.4%であり(日本看護協会,2022),DNPやPhDをもつ看護師は極めて少数である.米国とは教育レベルが異なることが結果に影響した可能性がある.CNの抑圧度が有意に低かったことを踏まえると,大学院教育が抑圧度を下げるのか専門的実践や社会的承認が抑圧度を下げるのかは明らかではない.これは本研究における限界であり,教育歴や大学院教育と被抑圧との関連は今後の課題である.

6. 臨床への提言

実践では,個人や集団の被抑圧性を把握し,問題解決に本尺度を活用できる.教育では最も活用可能性が期待できる.看護学生がこの概念を認知し,看護の世界の構造を理解することは,非人間化の抑止や問題解決方策の検討に有用である.研究では,本尺度を用いて,看護師の被抑圧と,自律性,アサーティブネス,攻撃行動,組織構造や職場環境との関連の検証ができる.政策では大学院教育推進への提言に貢献できる.

抑圧から解放されるためには被抑圧に気づく必要がある(Freire, 1970/2018Hedin, 1986DeMarco et al., 2007, 2008Purpora et al., 2012).しかし,被抑圧に気づく(智慧をつけて賢くなってしまう)と覇権的に看護師を利用できなくなる.この既得権益を維持しようとする見えにくい力への認識が重要である.看護師は入職後,組織の規律に従うよう訓練され,規律化された看護師はときに自らの意思,思考を放棄し命令に従う.Foucault(1975/2020)は「自分がみずからの服従強制の本源になる」と述べる.看護師は支配的な集団の規律を内面化し,自らの集団に規定していないか批判的に省察する必要がある.

7. 本研究の限界と今後の課題

回答には社会的望ましさバイアスが影響している可能性があり,医療施設以外で働く看護師,潜在看護師,助産師,保健師,准看護師を含まないこと,母集団の代表性に課題があることから結果の一般化には限界がある.COSMINが示す未検証の測定特性,職場環境,教育歴等の背景要因とOGBとの関係の検証は今後の課題である.日本の社会文化的な背景を踏まえ,日本の看護師の抑圧を測定できる独自項目の開発は重要であり,より適切なサンプリング設計の下,調査を重ねJNWSを精緻化していく必要がある.

Ⅴ. 結論

JNWSは8項目で構成され,抑圧者の価値を内面化する看護師集団,沈黙する自己の2因子構造の尺度である.JNWSは一定の妥当性と信頼性を示したが,サンプルの代表性に限界があるため,より代表的な看護師集団での検証が今後の課題である.

付記:本研究は,2023年度日本赤十字看護大学大学院看護学研究科に提出した修士論文に加筆・修正を加えたものである.本論文の内容の一部は,第44回日本看護科学学会学術集会において発表した.本研究における研究助成はない.

謝辞:本研究に快くご協力いただきました看護師の皆様に心より御礼申し上げます.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:末武は,研究の構想やデザイン,研究データの取得・分析・解釈に相当の貢献をした.また,重要な知見となる部分を起草した.安部は,重要な修正を行い,出版前の原稿に最終的な承認を与えた.研究者は,本研究のあらゆる側面に責任を負い,論文の正確性や整合性に疑義が生じた際は適切に調査し解決することに同意した.

文献
 
© 2026 公益社団法人日本看護科学学会
feedback
Top