日本看護科学会誌
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リラクセーション訓練におけるモデリングの効果
-筋緊張・弛緩の習得と被訓練者の特性-
奥野 茂代
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1992 年 12 巻 2 号 p. 30-44

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抄録

本研究は, 今日心身医療や看護の実践領域において臨床効果の数多く報告されている行動カウンセリングの一技法であるリラクセーションの訓練課程を検討するものである. 実験は, 筋反応の緊張・弛緩訓練に, モデリングが有効であることを実証しようとした. 被験者49名 (男性9,女性40)は, リラクセーション技法として原野の自己弛緩法<BUP>1)</BUP>の「片腕斜め上げ, 肘弛緩」の教示を受けた. モデリングによる訓練効果は, 外顕行動・EMGの身体反応, 内省報告の心理反応, および被験者の特性から検討した.
主な結果は, 以下のとおりであった.
(1) 被験者は, モデリングにより肘弛緩の外顕行動を習得するが, EMG所見上の筋緊張・弛緩の習得と必ずしも一致しないこと, 筋反応は緊張より弛緩の習得が困難であること, 筋反応の緊張・弛緩習得に部位差のあることなどが明らかになった.
(2) 訓練の効果は,「身体内感覚への気づき」を必要と受けとめている者に高かった.
(3) 訓練の効果は, 不安や「こだわり」の高い者に低かった.

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