抄録
女性の身体的特性である性周期により保健行動を起こす要因となる, 感情, 認知的側面がどの様に影響され, それにより行動を規定していくのかを明らかにすることを目的に, 一つの保健行動モデルを使用し研究を行った.
痩せるという保健行動を取る, 健康な女性18才~44才の22名を対象にBBT, BW, mood (STAI, MACL, MDQ), 認知力の測定を実施し, 各性周期時期における有意差検定を行った. その結果次のことが明らかになった.
1)対象者の性周期に伴う特性として,MACLのpositive mood群の集中力群で,卵胞期が黄体期比べ有意に高く, negativemood群の疲労群では黄体期が卵胞期に比べ有意に高かった.
性周期による認知スタイルの変動を認知taskを用いて測定したが有意差は明らかにされなかった.
2) 保健行動との関連では感情反応変数と第一次保健結果との間に関連, さらに認知的評価変数 (現状の認識と知識) と第二次保健結果との間に関連が認められた.
以上より性周期が行動に影響する一要因であることが明らかにされた. このことは女性の身体的特性である性周期について十分理解し, 保健行動を通して自己管理能力を身につけていくよう援助するための看護に役立つと考えられる.