日本看護科学会誌
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腎移植後レシピエントQOL因果モデルの検証
林 優子
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1998 年 18 巻 1 号 p. 20-29

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抄録

腎移植は生着率や生存率はむろん, 今日では特に移植後のQOLに視点が向けられている. 本研究は, 研究のための概念枠組みを基盤に腎移植後レシピエソトQOL因果モデルを作成し, そのモデルを検証することを目的とする. 研究対象は腎移植を受けた20歳以上の研究参加に同意の得られた者で, 関東と名古屋の4施設における外来通院者210名であった. データ収集は質問紙法及び面接法による調査と, 診療記録により行った. その内容は自己概念ソーシャルサポート, 不確かさ, 身体の状態, 対処, QOLなどについてである. 分析はQOL因果モデルにおげる構成要素間の関係を明らかにするために共分散構造分析を行った. 分析の結果, モデルの適合度指標(GFI)は高く, 因果=係数はt検定の結果有意差が認められた (p<0.05). 構成要素である自己概念, ソーシャルサポート, 不確かさ及び身体の状態と, 対処との関係, 対処とQOLとの関係が立証された. このことはレシピエントのQOL向上をめざした効果的な看護援助を検討するために重要な手がかりになると思われる.

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