日本看護科学会誌
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0~3歳の乳幼児を持つ<専業母親>の子育て観尺度開発に関する研究
-CPS-M97の妥当性・信頼性の検証-
内藤 直子橋本 有理子杉下 知子
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1998 年 18 巻 3 号 p. 1-9

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抄録

本研究は, 著者が専業母親用の子育て観尺度を開発するにあたり, その子育て観尺度の妥当性・信頼性を検討するために, 乳幼児を持つ専業母親303名を対象に調査を行った.
ところで,「子育て観尺度 (以下, 「CPS-M 97」と略す)」とは, 質問項目が18項目からなる5段階リカート型選択肢から構成されてい.
CPS-M97の内容妥当性については, 家族社会学を研究している後期博士課程の大学院生3名と, 助産所を開業し地域で子育て教室を7年間主催している経験20年以上の助産婦4名が検討したが, 質問項目26項目から3項目を削除後は, 特に問題は認められず, 内容妥当性は支持されたといえる. 次に, 表面妥当性においては, 2回の予備調査を行った際に, 0~3歳の乳幼児を持つ10名の母親と18名の母親が検討したが, 特に問題はなく, 表面妥当性は支持されたといえる. また, 構成概念妥当性については, まず, 主成分分析結果から4つの因子が抽出されたが, 尺度作成段階に構成された5つの下位概念と一部差異が認められる箇所があり, 一部を除いて構成概念妥当性はほぼ支持できたといえる. さらに, 理論的に導かれた仮説の検討も行ない, 主成分分析にみる構成概念妥当性の結果より一部除外された以外の各因子とSelf-Esteem Scaleとの間に有意な相関関係が認められ, 構成概念妥当性は支持されたといえる.
一方, CPS-M97の信頼性は, 主成分分析にみる構成概念妥当性の結果より一部除外された以外の下位尺度では, 概ね高い値が得られており, ほぼ高い内的整合性をもつといえる.
以上の結果より, CPS-M 97の下位尺度は, 一部を除いて妥当性・信頼性がほぼあると判断された.

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