日本看護科学会誌
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ホスピスにおける看護婦の「死」観に関する研究
-“良い看とり”をめぐって-
吉田 みつ子
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1999 年 19 巻 1 号 p. 49-59

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抄録
本研究は、我が国のホスピスにおいて、看護婦が死にゆく患者及びその死にどのように対応しているか、その対応にはどのような「死」観が関与しているか、について明らかにしたものである。1ホスピスに勤務する看護婦14名を対象に、参加観察法と半構成的面接法によってデータを収集した。分析はデータをコード化、カテゴリー化することによって行い、その結果の一部として以下のような看護婦の「死」観と対応を抽出した。[良い看とり] は、看護婦相互の間で共有されていた患者の死の迎え方の理想像を示すものであり、看護婦は〈身体的症状がコントロールされた死の過程/穏やかな死に際〉〈死までの過程を有意義に過ごした死〉〈家族が納得する死〉〈臨終時に家族に見守られた死〉を望ましい死の迎え方だととらえていた。[良い看とり] は、看護実践の指針となっており、患者がそのような死を迎えることが出来るようかかわろうとしていた。また、看護婦が[良い看とり]ととらえたかどうかが彼らが抱く感情にも影響をもたらし、[良い看とり] の場合には肯定的感情を、そうならなかった場合には否定的感情を抱いていた。また看護婦は無意識のうちに患者に対して [良い看とり] となるよう期待していた。
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