日本看護科学会誌
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中等度・重度痴呆症高齢者に残された現実認識の力についての研究
-看護者との対話から-
高山 成子水谷 信子
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2001 年 21 巻 2 号 p. 46-55

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抄録
本研究の目的は中等度・重度痴呆症高齢者に残された現実認識の力を明らかにすることである. 65才以上のアルツハイマー型痴呆症高齢者5名を対象に, 研究者が生活の場でケアしながら対話した言葉を, 質的・帰納的方法で分析した.
その結果, 彼らは「照れ笑い」「言い訳, 言い繕う」「自己決定する」と他者に気持ちや感情を表現する力と,「大笑いする」「繰り返し聞き返す」「気遣いをする」「口調を変えて主張する」「行動をリードする」と他者に働きかけて関係を作ろうとする力を示した.残された現実認識の力を示す中心的な概念は彼らが「他者を認識し,他者との相互作用がある」であった.
本研究で明らかにされた痴呆症高齢者に残された力は, 看護者が痴呆症高齢者の残された力に眼を向けるための指標となり, また彼等の力を維持するための助けとなるかもしれない.
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