日本看護科学会誌
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中年期がん患者のソーシャル・サポート・ネットワーク
手術前後のサポーターの内容と変化
福井 里美
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2002 年 22 巻 1 号 p. 33-43

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抄録
がん切除手術の為に入院した中年期患者 (n=23, 平均年齢 52.3±7.68) を対象に, 手術前から退院後 3 カ月まで縦断的に個別面接を行い, ソーシャル・サポート・ネットワークの内容と変化を検討した. 重要度を3段階に区別してサポーターを挙げてもらい, 次にその人を選んだ理由を聞いた. その結果, 患者は一貫して平均 14.5 人をサポーターとしてあげ, 内容は配偶者, 子ども, 自分のきょうだい, その他の親族, さまざまな友人, さらに医療者など多様であった. しかも患者は, それぞれが自分にとってどのような意味があるかを識別しネットワークを構築していることが明らかになった. 最も重要なサポーターには信頼と親愛の気持ちが基礎にあること, 次に重要なサポーターからは情報的・道具的サポートを受けていることがわかった. また, 医師や看護婦はその専門性が最も期待される治療の時期にサポーターとみなされていた. 最後に, ソーシャル・サポート・ネットワークの個人差, 新たなサポーターの可能性,「アンビバレントな感情」の3点について論じた.
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