抄録
日本人の死別悲嘆に関する記述集の内容を分析し, 悲嘆反応を確認していくことを目的とした.
方法: アクションリサーチに基づき悲嘆回復ワークショップを企画し主題に取り組んだ. プログラムの一つである G-TST (Grief Twenty-Statement Test) により収集された484記述の意味論的内容分析を実施した. 対象は, 配偶者, 子ども, 親の喪失との死別に起因する苦痛軽減を望んでワークショップに参加した52名である. 死別後の経過は約 22.7月であった.
結果: 悲嘆反応は, 心的反応, 行動反応, 身体反応の3コアであり, さらに心的反応は多岐にわたり「気分不調: 気分の低下と変調」「思慕: 日常生活に生きる故人」「奮励: 現実と向き合う」の3サブカテゴリーからなった. 思慕の表現の多さと多彩さと, 故人の記憶を包み込むように保持する点に日本人の特徴があると考えられた.