日本看護科学会誌
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首都近郊の地域組織活動に関する研究
-居住期間・健康状況による分析検討-
金子 仁子土屋 滋
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1988 年 8 巻 1 号 p. 24-35

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抄録

地域活動展開を前提に, 地域組織活動の基礎資料を得るために首都近郊の開発地区において, 近隣関係や地区内行事の参加, 組織活動に対しての意識について調査をし, 居住期間との関連を検討をし, 次の様なことが明らかになった.
(1) 地区内行事には, 居住期間が短い時期(3年未満)ではそれ以上長い群に比し参加体験者が少なかったが, 長く住めば住むほど参加体験者がそれにつれ増加するわけではなかった.
(2) 近隣関係は, 居住期間が短いと疎遠な関係であり, 長く住めば個人的な親密度は増すが近隣全体といった面的広がりにはならなかった.
(3) 地域活動への意見では, 問題が起こった時には行政指導型でよくしたいと考える反面, 地域生活は皆の協力でよくしたいという考えを持っており, 住民同士の取り組みを育てていく可能性はみられた.
(4) この開発地域でのヘルスニードを分析すると, 成人病予防の健康教育や, 適性医療受診のための指導などが重要である.
これらから保健活動の立場で組織活動を行なうためには, まず住民同士の輪を広げ, 皆で問題を解決することを学ぶ場づくりに着手しなければならないことが示唆された.

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