老人の上腕計測値の加齢に伴う変化について検討するために, 65歳以上の自覚的健康老人; A群 (男性43名, 女性69名) および老人健診受診者; B群 (男性69名, 女性132名) の2集団を対象として上腕計測を行い, 以下の結果を得た.
1. 男性は,全例では両群とも⊥腕囲 (AC), 上腕皮下脂肪厚 (TSF), 上腕筋囲 (AMC) は加齢とともに減少していた.標準体重比80~120%等の健常者群でも, 両健常者群とも, AC, AMCが加齢とともに減少しており, AMCの金らの標準値比は各々91%, 92%で, 筋蛋白量が軽度の消耗状態に近いと評価された.
2. 女性は, 全例では両群とも加齢とともに上腕計測値は減少していたが, 健常者では両健常者群ともその傾向は認められなかった.
3. 上腕筋囲の加齢に伴う変化に性差があることは,他の資料と合せて観察すると一層明瞭となった. 加齢に伴う測定値の変化を明らかにするという点から, このことはより多数例について確認する必要がある.