抄録
病弱老人の生きる支えになるものを見いだすことを目的に, 病弱者を含む在宅老人141名と, 老人ホームで生活している病弱な老人30名に, 生きがいに関する調査をし検討した. 対象者の年齢はいずれも60歳以上であった.
その結果次の結論を得た.
1. 病弱である在宅者および施設入所者は, 在宅の健康な者よりむしろ, 生きがいがあると答えた者が多くみられた.
2. 今回対象とした老人の多くは, 生きがいの対象として趣味をあげており, 病弱者も同様の傾向を示していた.
3. 生きがいがあると答えた者には, 孤独感を抱いていない者が多いことが, 統計的に有意であることが確認された.
4. 在宅の病弱者に孤独感があると答えた者が多い傾向にあり, 病弱者の生活における生きがいの意味について,今後さらに検討を深める必要性があることが確認された.