2005 年 36 巻 6 号 p. 339-344
近年,PCBの化学処理プラントの計画,運転が実施されている.多くの処理プラントでは気相中有害物の除去技術として,活性炭による吸着除去法が用いられている.しかし,毒性も高く,異性体数の多いPCBについて,活性炭吸着挙動に関する詳細な検討は少ない.ラボスケールのカラム流通式吸着実験装置を製作して行われたPCB蒸気の活性炭への吸着試験の結果より,破過曲線を作成した結果,D2CBs,T3CBs,T4CBsの順で破過が進行していることが分かった.さらに異性体ごとに破過曲線を作成したところ,破過時間に明らかな差が見られた.各異性体の蒸気圧と破過時間に着目すると,蒸気圧が高い異性体から先に破過していることを確認した.さらに溶剤洗浄施設を想定したPCBと溶剤の競合吸着系においても,PCBの吸着量には影響を及ぼさないことが報告されている.