2006 年 37 巻 3 号 p. 154-163
21世紀は,「かおり」の時代だという.「におい」や「かおり」の文化は,人類文明とともに築き上げられ,食物に香味と心に豊かさを与えてきたが,「におい」や「かおり」はいつも我々の身の回りに存在して,常に我々の生活と深くかかわっているにもかかわらず,空気と同様に,忘れられがちな存在で,しかもわからない面が多い.
このような「におい」や「かおり」を,人間や犬に代わって検知をする「におい」センサーシステム,すなわちエレクトロニックノーズ(e-Nose)の研究開発が活発化してきている.本稿では,このエレクトロニックノーズシステムの開発現状について概観するとともに,そのコア技術であるケモセンサーの原理・特徴およびセンサーシステムの応用分野について言及する.