2014 年 45 巻 4 号 p. 287-297
老年性嗅覚障害は60歳代以降でみられ,加齢とともに徐々に悪化し,嗅覚障害により日常生活の質は大きく低下してしまう.身体能力が低下し,栄養摂取が不良となりやすい高齢者にとって,こうした問題は特に重要になってくる.先天性嗅覚障害は生来嗅覚がないというまれな疾患である.嗅覚障害のみを臨床症候として呈する非症候性とKallmann症候群などの症候性がある.MRI検査により嗅球などの嗅覚系構造が検出できるようになり診断精度が向上している.嗅覚障害に伴うハンディキャップについての理解と性腺機能不全など嗅覚障害以外の他の全身合併症についても精査する必要がある.