におい・かおり環境学会誌
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特集(食物の香りとその機能性)
香気誘発性鎮痛と食品香気
柏谷 英樹
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2017 年 48 巻 5 号 p. 373-379

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抄録

香気の中には情動とそれに伴う自律応答を強く惹起するものがあることが経験的に知られており,その作用を医療に応用する試みは古くよりなされてきた.しかしながら「におい」がどのような脳内機序によりその機能を発現するのかは不明であった.我々はマウス疼痛テスト系を用いて香気暴露による鎮痛効果を測定し,テルペン系化合物の一種,リナロールの香気が鎮痛効果を有することを見出した.さらに,この効果は嗅覚系を介して(つまり「におい」として)惹起されること,そして視床下部オレキシン神経の活性化が必須であることを見出した.また,リナロールを多量に含む芋焼酎香気でも,リナロール濃度依存的に鎮痛効果が現れることを明らかにした.本稿ではこれらの知見を中心に紹介する.

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© 2017 (社)におい・かおり環境協会
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