2018 年 49 巻 4 号 p. 254-264
排水処理施設で発生する硫化水素は悪臭苦情の原因となるだけでなく,人体に有害であることや,排水処理設備の腐食原因になることが知られている.さらに,活性汚泥処理にも悪影響を与え,処理水の水質悪化にもつながる.各種工場の排水処理施設における硫化水素発生状況を調査した結果,その発生状況は工場の稼働状況や生産プロセスで使われる原料にも関係することが示された.薬剤による硫化水素対策を検討した結果では,排水処理設備に適した薬剤を用いることで硫化水素の発生を抑制することが可能であった.