2018 年 49 巻 6 号 p. 363-369
パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患では,早期に嗅覚障害が出現することが知られている.したがって,嗅覚検査は,これらの疾患の早期発見のためのバイオマーカーとなりうる.本項では国内外で行われている嗅覚検査について,その方法と特徴について解説した.神経変性疾患による嗅覚障害では,嗅覚同定能の低下が特徴的である.わが国で行われている嗅覚検査の中で,T&Tオルファクトメーターを用いる基準嗅力検査における検知域値と認知域値との解離の増大は,同定能力の低下を示し,神経変性疾患による嗅覚障害の検出に有用である.また,新たに開発された嗅覚同定能検査もこれらの発見に有用とされている.