私達の身の回りには40万種の化学物質からなる「におい」が存在しており,人の敏感な嗅覚は極微量であってもにおいの元となる成分を感知することが可能である.またにおい物質は,単独で嗅いだ場合と複合で嗅いだ場合では相互作用や相殺作用により,その質や強度が大きく変化するため,においの質の評価は機器分析では容易ではなく官能評価による判定が主流となっている.筆者らは,におい分析における包括的かつ詳細な機器分析手法として高感度フルスペクトル取得が可能なGC-TOFMSを用いた生活に関わるさまざまなにおいの網羅的解析手法について検討を行った.