におい・かおり環境学会誌
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51 巻, 2 号
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特集(日常生活に於けるにおい・対策)
Research paper
  • 邊見 篤史, 杉野 努, 中村 健一, 野村 正人, 奧原 正國
    2020 年 51 巻 2 号 p. 129-143
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    天然物由来の新しい消臭物質の発見を目的として,活性の測定にガスクロマトグラフィー(GC)を用いて,植物抽出物からのスクリーニングを試みた.その結果,フユアオイの50%エタノール水による抽出物に消臭活性を検出した.活性の本体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し,1,8-シネオールと同定した.1,8-シネオールは,比較的広い範囲の悪臭ガス(2-ノネナール,スカトール,インドール,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,イソ吉草酸)に対して,消臭率90%以上の強い活性を示した.また,アリルメチルスルフィド,酪酸,アリルメルカプタン,ジメチルスルフィドに対し70%以上の消臭率を示した.なお,消臭活性の強さを表す消臭率は,消臭物質を含むin vitroの測定系に悪臭ガスを添加して反応させ,その際に消失したガス量の原ガス量に対する割合(%)である.官能試験(6段階評価)では,1,8-シネオールは臭気強度を1.5~3段階低減させた.1,8-シネオールには,芳香によって臭気強度を低下させるマスキング効果が知られている.一方,1,8-シネオールは消臭活性の強さと分子量,または消臭活性と沸点との間に相関関係が認められた.また1,8-シネオールに一旦吸着された悪臭ガスは高温で物理的に脱着した.これらの知見から,1,8-シネオールにはマスキング以外に,悪臭ガスを吸着することにより,その濃度を低下させる物理的機序の存在が推定された.

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