におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
ISSN-L : 1348-2904
研究論文
ヒト皮膚表面から放散するアンモニアに及ぼすラクチュロース摂取の影響
関根 嘉香内山 汐里戸髙 惣史境 洋平﨑山 亮越智 浩阿部 文明浅井 さとみ梅澤 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 51 巻 6 号 p. 338-345

詳細
抄録

ヒト皮膚表面から放散するアンモニアは体臭の原因となり,ヒトの快・不快感に影響する.難消化性のラクチュロースは大腸に直接届き,ビフィズス菌増殖因子として働く.ビフィズス菌が産生する乳酸や短鎖脂肪酸の作用などにより,肝性脳症患者では血中アンモニア濃度が低減することが知られている.しかしながら,ラクチュロース摂取が皮膚からのアンモニア放散に及ぼす影響については報告例がなかった.そこで本研究では,健常者12名を対象にパッシブ・フラックス・サンプラー-イオンクロマトグラフ法を用いて,ラクチュロース摂取に伴う皮膚アンモニア放散フラックスの変化を調べた.ラクチュロース摂取量は食品用量である4 g/日とした.その結果,摂取8日目後から皮膚アンモニア放散フラックスは有意に減少した.また便中ビフィズス菌数は,ラクチュロース摂取後に有意に増加し,便中ビフィズス菌数と皮膚アンモニア放散量との間に負の相関が見いだされ,皮膚アンモニアの放散には,腸内環境も関わっていることがわかった.

著者関連情報
© 2020 (社)におい・かおり環境協会
次の記事
feedback
Top