におい・かおり環境学会誌
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技術論文
におい嗅ぎガスクロマトグラフを用いた和牛の皮膚ガスを対象とした分析技術の基礎的検討
松本 英顕江原 史雄小山 玲音笹川 智史原口 智和宮本 英揮龍田 典子上野 大介
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キーワード: GC-O, VOCs, 皮膚ガス, 和牛, ストレス
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2021 年 52 巻 4 号 p. 233-239

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抄録

和牛(黒毛和種・繁殖雌牛)のストレス数値化技術として,皮膚ガスをマーカーとして利用する手法に着目した.本研究では基礎的検討として,皮膚ガスのサンプリング手法および分析技術の高度化に取り組んだ.サンプリング手法として,牛に特化したサンプリングデバイスを作製し,固相吸着剤を腰部に近い背部に装着させる手法を開発した.本手法で捕集された皮膚ガスをGC-MS分析に供試したが,特徴的なピークを検出することはできなかった.そこでにおい嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O),ガスクロマトグラフ分取システム(GC-F),およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて分析したところ,黒毛和種の皮膚ガスに特徴的なにおい物質として(E)-3-Octen-2-oneを同定した.本研究は大型畜産動物の皮膚ガスを同定した初めての報告である.将来的に本技術を活用して皮膚ガスとストレスの関係を検証し,パッチテストや嗅覚センサーを用いた非侵襲的なストレス数値化技術の実用化につながることが期待される.

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© 2021 (社)におい・かおり環境協会
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