におい・かおり環境学会誌
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研究論文
特定悪臭物質のにおい表現に関する検討
光田 恵 近藤 早紀棚村 壽三岩井 幸一郎榊原 清美
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2023 年 54 巻 4 号 p. 226-234

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抄録

特定悪臭物質のにおい表現として,アンモニアは「し尿のような」,硫化水素は「腐った卵のような」など決まった表現が使用されている.しかし,日常で用いられる言葉は,時代とともに変化しており,においの表現に使用されている言葉からそのにおいの質がイメージしにくくなっている可能性がある.そこで本研究では,各特定悪臭物質に関する適切なにおい表現の検討を行った.臭気強度3程度に調整した22種の特定悪臭物質のにおい試料を大学生42名に提示し,臭気強度,嗅いだ経験と250のにおい表現に対する合致度を評価させた.その結果,メチルメルカプタン,硫化水素,トリメチルアミン,イソブチルアルデヒド,イソ吉草酸の5物質のにおい質は,従来表現と合致度していると判断された.5物質以外では,「個性的な」「こもっている」などの抽象的な表現や,従来表現とは異なる事物・状態表現が認められた.本研究では,におい表現の合致度に影響する要因の1つにその時代の背景,社会環境があることが推察された.

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© 2023 (社)におい・かおり環境協会
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