抄録
本シンポジウムでは、働く人の健康と安全の確保という企業の基本的な義務に焦点を当て、中小企業における「健康経営」の実践とその効果について、経営者を含む多角的な視点で深掘りした。従業員を家族同然と捉え、従業員の健康に取り組む中小企業は増えているが、健康経営を実践しているのは全体の一部に過ぎない。本シンポジウムを通して、健康経営の実践が従業員満足度向上や業務効率の改善に寄与し、経営においてもプラスの効果をもたらすことが確認された。中小企業における健康経営の実践には、産業保健専門職との連携など、さまざまな課題があることが指摘された。今後、専門家の育成やサポート体制の整備が必要であると結論づけられた。