日本産業看護学会誌
Online ISSN : 2188-6377
研究報告
メンタルヘルス対策の事業企画経験の有無に関する要因
望月 由紀子
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2020 年 7 巻 p. 17-23

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抄録

目的:産業看護職のメンタルヘルス対策の事業企画経験の有無に関する要因を明らかにすることを目的とした.

方法:日本産業看護学会会員235名を対象に自記式質問紙調査を実施し,産業看護職個人の特徴と日頃の実践内容,職場の状況について検討した.分析は,2群間の比較は,Fisherの直接確率法を用いた.産業看護職のワーク・エンゲイジメントについては,日本語版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度短縮版(The Japanese Short Version of the Utrecht Work Engagement Scale: UWES-J)得点を用いて,全体得点,活力,熱意,没頭の3つの下位尺度について,Mann-Whitney U検定を用いた.解析は,SPSS Statistics, Ver. 23.0を用い,有意水準は5%未満とした.

結果及び考察:61名(有効回答率26.0%)を分析対象とした.平均経験年数は18.9年であり,メンタルヘルス対策の事業企画の経験ありは50名(82.0%)であった.経験あり群は経験なし群よりも,関係部署との意思疎通,個別分析,集団分析,UWES-J)得点,事業場内でメンタルヘルス対策の事業企画の経験ありと回答した割合が有意に高かった.経験を有する産業看護職は,個別支援のための分析や集団支援のための分析を常に行うことで,メンタルヘルス対策の事業企画につなげていたと考える.

結論:産業看護職は日常的な実践内容の分析を常に行うことで,メンタルヘルス対策の事業企画の経験に繋がっていた.

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© 2020 日本産業看護学会
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