2020 年 7 巻 p. 24-31
目的:日本人の海外勤務者がどのような健康問題を抱えているかを明らかにする.方法:一般企業A社に在籍する1年以上海外勤務の経験のある日本人14名を対象に半構成的面接法を行い,面接で得られた14名の逐語録を,質的記述的に分析を行った.結果:海外勤務者が抱える健康問題について抽出されたのは,46の下位カテゴリー,25の中位カテゴリーと7の上位カテゴリーであった.上位カテゴリーは【本人の体調の変化】【本人の不安】【家族の体調の変化】【家族のストレス】【健康問題に対する対応】【海外勤務者が捉える医療の現状】【海外勤務における希望するサポート】が生成された.考察:気候や環境の変化により身体的な健康問題や,文化の違いや言葉の壁などのストレスが原因となる,精神的な健康問題が生じることが明らかとなった.家族の海外生活への適応が,海外勤務者本人の精神的な健康問題に影響し,本人の身体的健康問題につながる可能性として確認された.