抄録
目的:甲状腺眼症での斜視手術による両眼注視野の改善がQOL に与える影響について明らかにする。
方法:甲状腺眼症による複視に対し斜視手術を施行した31 例( 男性11 例,女性 20 例61 ± 21 歳) を対象とした。
手術前後の両眼注視野を評価する尺度としてFunctional scoring method を使用しスコア化した。VFQ25 によるアンケート調査を行い手術前後の総合得点と12 の下位尺度の得点を算出し,両眼注視野スコアとの相関を統計学的に分析した。
結果:両眼注視野スコアは術前14.29 ± 23.35 術後59.16 ± 18.74(p < 0.01),VFQ25 の総合得点は術前54.40 ±15.02 術後67.71 ± 16.80(p < 0.01) とそれぞれ改善した。術前後ともに両眼注視野スコアはVFQ25 の総合得点と弱い正の相関があった。( 術前r=0.288,術後r=0.342)。手術による両眼注視野スコアの改善と術前後での総合得点の差には相関は認められなかった(r=0.103) 。
考察:視機能の問題が患者の日常生活に与える影響を評価するために,患者のニーズに合った看護介入の手段として視機能とQOL を評価することは重要である。