特別支援学級在籍児童向けの平仮名教材を作成し、有効性と社会的妥当性を検討することが本研究の目的であった。特別支援学級に在籍する1年生3名が参加した。特別支援学級の教室で、担任2名が指導にあたった。行動間多重ベースラインデザインを意図しつつ、ベースライン測定を極力短縮してデータを測定した。使用した教材には絵と平仮名を線で結ぶ課題、仮名を視写する課題、絵を弁別刺激として仮名を筆記する課題が含まれた。学習後、絵を弁別刺激として仮名を筆記するテストを実施し、このテストでの正誤を従属変数とした。結果、全参加児が円滑に平仮名書字を獲得した。社会的妥当性に関する質問紙調査に対し、指導者であった教師らは肯定的な回答を示した。有効な平仮名指導法を提案できたと考えられるが、視写が円滑にできることが前提であり、より書字に困難のある児童向けの対応策を含めたプログラムにする余地が残った。