2018 年 21 巻 p. 112-124
起業を果たした後の小規模企業は、活動を続け、創造革新性を維持する上で、どのような人材マネジメントを行っているのか。これを探索的に把握するために、本研究では、小規模企業の起業者を対象とする面接聞き取り調査を行い、起業後の初期段階において、起業者が取り組んだ人的資源のマネジメント(人材の確保、定着、育成の問題)の特性を検討した。その結果、生き延びている中小企業起業者の人的資源マネジメントは、「直接接触性」、「全人的関係性」、および「個別的関心性」の3点から特徴づけられ、リアリティショックの緩和、社会化の促進、内発性の誘発を促進する機能を持つことが明らかにされた。