2022 年 25 巻 p. 72-93
本研究は、起業を創造性の高い精神性を持つ人物が起こす創造活動と定義し、その段階を明確化したうえで「起業態度が表出した状態の学生は、起業に対しどのような動機をもっているのか」をResearch questionとする。ビジネスコンテストM-BIPを開催し、アンケート調査およびインタビュー調査を行うことで動機の抽出を試みる。その結果から起業に対する動機の3つの因子「衛生的要因を起点とした社会的地位の追求因子」「生活の質の向上を目的とした経済的独立因子」「個人の創造性の社会実装因子」が得られた。またインタビュー調査では、対象者らが人と関り合うことで、自己自律的に成長するオートポイエティックな思想をもつことがわかった。実践的な起業教育の場では、多様なステークホルダーが対象者らの動機に併走するよう関り合いながら、起業計画や未来ビジョンの創出を支援することが重要である。これによってそれぞれの動機の強度はさらに向上できることが示唆された。