主催: 日本学術会議 メカニクス・構造研究連絡委員会
共催: 応用物理学会, 化学工学会, 九州大学応用力学研究所, 土木学会, 日本応用数理学会, 日本風工学会, 日本機械学会, 日本気象学会, 日本計算工学会, 日本建築学会, 日本原子力学会, 日本航空宇宙学会, 日本地震工学会, 日本数学会, 日本造船学会, 日本物理学会, 日本流体力学会, 日本レオロジー学会, 農業土木学会
盛夏期に出現するオホーツク海高気圧によって、北日本にしばしば顕著な冷夏がもたらされる。このため以前からオホーツク海高気圧が日本の天候に与える影響については多くの研究がなされてきた$^{1), 2)}$。しかし、今なお、長期予報における盛夏期の天候の予測には十分な精度があるとはいえず、また、将来の気候変動によるオホーツク海高気圧を含む盛夏期の東アジア域の気候の変動について十分に信頼できる予測ができているとはいいがたいのが現状である。近年では力学的な観点からの研究により、盛夏期のオホーツク海高気圧の形成には、シベリア上の上部対流圏における高気圧性偏差が本質的な役割を果たしていることが分かってきた$^{3)}$。また著者らによるこれまでの研究により、この高気圧性偏差は基本場から偏差場への順圧的運動エネルギー変換によって強化されることも明らかにされてきた$^{4)}$。本研究では、シベリア上の高気圧性偏差を線形順圧モデルにおける定常応答問題の解のひとつとして抽出し、北半球全域に無作為に置かれた渦度強制によって励起されて基本場からエネルギーを受けとることによって自分自身を維持する作用を持つ偏差パターンとして議論する。