屋外の鉄塔で支持される架空送電線では,冬季に着雪が発生し,過大な荷重や空力的な不安定振動が発生する可能性がある。このような着雪現象の理解や重着雪抑制対策の効果発現メカニズムの理解には,実線路での着雪観測とともに物理モデルに基づく数値解析手法による分析が有効である。物理モデルによる数値解析は,1970年代から試みがなされているが,既往の着雪モデルはすべて,風は電線に直角に当たるとの前提に基づいており,斜めからの風や吹き上げ風は対象としていない。本研究では,着雪モデルの適用性を拡張するため,任意方向からの風を対象とした電線周りの着雪モデルを構築し,シミュレーションコードSNOVALとしてツール化した。北海道の実送電線を対象とした解析を実施し,実際に観測された着雪データと定量的に比較して,本解析コードの妥当性を確認する。