日本女子体育連盟学術研究
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原著論文
カポエイラにおける授業構成の観点と「ジョゴ」概念
─リオデジャネイロ市のJ幼稚園の授業パターンに基づいて─
細谷 洋子
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2014 年 30 巻 p. 1-16

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抄録

アフロ・ブラジル文化カポエイラは,アフリカ系奴隷によってブラジルで創造され,近年ブラジル社会,歴史,文化の象徴としてブラジル国家によって認められた民族スポーツである。本稿はこのようなカポエイラの,幼児を対象にした教授内容を明らかにし,授業構成の観点とその鍵となる概念を考察することを目的とした。
その結果,授業パターンにおいて,幼児の心身の発育発達段階を考慮して,多様な動きの体験が優先された。そしてカポエイラの独特の世界観が重視されない「ジョゴ」(カポエイラのゲームを意味する。以下「ジョゴ」と略す)が行われていると考察された。
授業構成の観点として「行為の意味を重視する」ことが重要であることが明らかになった。つまり,技の完成度よりもジョゴを行う二人の間で技が行われることで生じる「問いかけと返答」という意味を重視する傾向が考察された。
更には,「問いかけと返答」の意味生成において,即興性が基軸となる「ジョゴ」概念が授業構成の観点として重要であり,この「ジョゴ」概念はカポエイラ特有の文化的特性であるという知見が得られた。

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