抄録
本研究では, 西村の現象論を用いて, 表現運動の授業において子どもたちが「踊っているということ」はどのように捉えられるのか, また「踊っているということ」に見られる「他者関係」を見極めることによって, 表現運動の授業づくりの視座を提出することを目的とした。
その結果, 「踊っているということ」は, 1つの関係であり, 「他者関係」の応答を生起させることによって成り立つということが明らかになった。そこに参加する子どもは, 「踊らされる存在」になったり, 「踊る存在」になったりしながら, 他者と相互主体の関係にあると考えられた。また, その「他者関係」の変容過程では, 「融合関係」「応答関係」「共感関係」が見られた。このような関係性をどう生起させるかということが, 今後の表現運動の授業づくりにおける視座になると考えられた。