本研究では, 即興表現を中心素材とするダンス・セラピーにおいて, より高いセルフ・モニタリングや価値 ある自己, 肯定的な自己を体験し, またこれを保つことへの動機づけを獲得してゆくことを検証しようとした。方法として, 援助技術系資格養成課程で, 実技科目「ダンス・セラピー」を受講する者に対して, 「セルフ・モニタリング・スケール」「自己肯定度インベントリー」の評定を求め, その変化を測定した。
その結果, ダンス・セラピーの体験前後で, 「セルフ・モニタリング尺度」の構成因子中, 「他者指向性」得点が上昇し, 1回および数週間にわたるダンス・セラピー参加の前後で「自己肯定度インベントリー」得点が有意に改善していたところから, 本研究におけるダンス・セラピーの体験では, 肯定的な感情や気分を仲間と共に経験する中で, 他者との関係での自己のありようを探り, またこれを肯定する受容的態度が増すことが明らかになった。
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