パーソナルファイナンス研究
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研究論文
ビッグテック企業の金融機関化
─ 米中の比較を通じて─
李 立栄
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2025 年 12 巻 p. 57-77

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抄録

本研究の目的は、金融分野におけるビッグデータの活用に関する先進的事例として、米国および中国におけるビッグテック(Big Tech)企業の金融サービスへの進出(いわゆる「金融機関化」)を比較し、その全体像と特性を明らかにすることである。

近年、米中両国において、巨大ITプラットフォーマーであるBig Tech企業による金融サービス提供が急速に進展している。これら巨大IT企業による金融サービスの参入は、金融テクノロジー(フィンテック)を基盤とする多様なサービスを生み出し、既存の伝統的な銀行システムに対して構造的な変化を促している。

米国においては、Google、Apple、Facebook、Amazon(いわゆるGAFA)といったBig Tech企業が、決済サービスを中心に、大手金融機関との連携を通じて貸出やBuy now Pay Later(BNPL)といった新たな金融サービスの提供を進めている。一方、中国においては、アリババやテンセントといったBig Tech企業が、自社のインターネット決済プラットフォームを基盤として、第三者決済サービスをはじめ、貸出、貯蓄、投資信託、保険など多岐にわたる金融商品を展開している点が特徴的である。両国を比較してみると、米国のBig Techは既存の大手金融機関と連携して金融サービスを提供するのに対して、中国のBig Techは自社のネットワークサービスを基盤として付帯的な形で金融サービスを展開しているという差異がある。

これらのBig Tech企業が金融サービスに参入したことによるメリットは、膨大な顧客データへのアクセスを通じて、個人レベルでの信用評価が精緻化され、従来の金融サービスの普及を阻害していた書類審査や担保要求といった手続的な要求を緩和することで、金融包摂の拡大に貢献していることである。加えて、彼らの金融サービス分野への進出は、金融サービスにおけるリスクおよびコスト・ベネフィットの評価に新たな視点をもたらしている。一方で、従来の金融規制が想定していないサービス形態が出現したことで、新たな問題も浮上している。すなわち、環境の急速な変化により、金融システムの安定性確保や消費者保護といった課題に対し、従来の規制枠組みでは十分に対応できない新たなリスクも顕在化している。

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