パーソナルファイナンス研究
Online ISSN : 2189-9258
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研究論文
金融教育の成果検証
─ 受講者の非合理的特徴と教師の授業改善の視点から─
村上 敬進林田 崇
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2025 年 12 巻 p. 35-55

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抄録

目的: 第1の目的は、教える側に注目して金融教育の成果を分析することである。本稿では金融教育の講師であれば誰でも成果検証できる方法として顧客満足度分析(Customer Satisfaction Analysis以下CS分析)を提案した。CS分析は授業のどこを改善すればよいかを明らかにできる簡便な手法のため、授業改善をすぐに行えるからである。本稿ではCS分析の考え方を踏襲し、介入教育の成果は優先的改善項目の数や改善度の大きさとして定義した。第2の目的は、受講者の非合理的特徴を考慮した成果検証を試みることである。現在バイアスと実家から独立する主観的な機会費用を、本稿は金融教育の成果検証に利用した。

方法: 現在バイアスの強弱などで場合分けしたCS分析から、教育介入の結果、受講者が不満に感じる授業品質は何かを明らかにし、PDCAサイクルを回す方法を検討する。

結果: 現在バイアスが強い群は、弱い群と比べて優先的改善項目が増加した。また、実家から独立する主観的機会費用が大きい群は、授業が難しかった可能性がCSグラフから得られた。場合分けをしてCS分析を行うことで、本稿は、第4象限に出現する優先的改善項目が異なることを示すことができた。

考察: 本稿は、教授側の視点で介入教育の成果を提案した。先行研究では介入教育の成果が均一でないことを受講者側の要因にのみ求める文献が多かった。これに対して本稿の貢献は、非合理的特徴をもつ受講者は、介入教育のどの授業品質に不満があるかについて明らかにできたことである。どの授業品質に不満があるか分かれば、授業方略を練ることが可能になり、金融教育の授業改善を支援できると期待される。本稿の着想はFD(Faculty Development)の研究にある。数少ない教授側からの先行研究に、本稿は本格的なFDの視点を導入できた。

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