日本精神保健看護学会誌
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嘔気を主症状とする不登校症例への看護支援 : 患児-看護者関係が患児の自我発達に与える影響に焦点をあてて
天谷 真奈美
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1992 年 1 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

本研究は思春期不登校患児の成長発達を促す看護支援を明らかにすることを目的として行われた。対象は嘔気を主症伏とする不登校患児1名である。1対1の遊戯療法および面接を基本とした援助を行い、精神力動的な視点から患児の不適応行動のもつ意味と病理、患児-看護者間の関係の中で起きてきた患児の変化とその変化をもたらした効果的な支援について検討した。その結果、母親との相互関係性をめぐる葛藤が身体症状化に関連していると同時に、自我発達や学校適応状況を損なう大きな原因であることが明らかにされた。その問題を解決するためには、安全で保護的な環境の提供・維持、一貫した支持的機能を有する看護者との関係性が、自由に自分を表出し自我の安定性を強化する上で有効であった。こうした肯定的自己感や主体性の促進と対象関係への改善への支援は患児の生活行動への意欲を再生し、結果として社会生活適応の拡大にも有効であることが示唆された。

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© 1992 一般社団法人日本精神保健看護学会
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