抄録
精神分裂病にともない、精神病院に3年以上入院し、退院できた11ケースの看護実践から、社会復帰に向けての看護介入のコツの抽出を試みた。具体的には、ケースを担当した看護婦から、看護実践の逸話を収集してデータとし、その中から以下のような14の看護介入のコツを抽出した:(1)環境作り(2)信じる(3)あきらめない(4)入院の意味を問い直す(5)できるところに重点を置く(6)意思を尊重し支える(7)安心の確保(8)具体的手だての提示(9)慣れるまで一緒にする(10)思いきる(13)その時を捕まえる(12)肯定的評価(13)励ます(14)巻き込む。抽出した看護介入のコツは、社会復帰を障害していた要因に対して、どんなときに、どのように用いられていたか分析した。また、それぞれのコツは、看護婦のどのような能力を働かせたものであったか、解釈を試みた。