日本精神保健看護学会誌
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心の病いをもつ人の地域における居場所と心の拠り所の獲得の実態
濱田 恭子堤 由美子
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2011 年 19 巻 2 号 p. 22-32

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抄録
本研究の目的は,心の病いをもちながら比較的良好な状態で地域生活を送っている人の,居場所と心の拠り所の獲得の実態と,それらを獲得するための要因を明らかにすることであった.研究参加者7名に半構造化面接を実施し,得られた記述データを質的帰納的に分析した.その結果,居場所として,自宅,職場,社会復帰施設・病院,地域活動の場が認められた.そして,これらの居場所を,【自分のペースを保てるところ】【他者から尊重され自分を発揮できるところ】等と受け止め,【自分らしく貢献できているという思い】【社会的役割を果たしているという思い】等が心の拠り所となっていた.これらの獲得を支える要因として,【心の病いという運命の受け入れ】【疎外感を感じさせない関係】【将来への希望】等が抽出された.以上から,当事者が"時"と"場"を自分のいる"ところ"として引き受けられるようになったときに,はじめて居場所や,心の拠り所を獲得できるようになると考える.
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© 2011 一般社団法人日本精神保健看護学会
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