日本精神保健看護学会誌
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境界例児童の看護援助に関する研究
塩飽 仁
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1993 年 2 巻 1 号 p. 20-30

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抄録

境界例児童に対して看護援助を行い、精神力動的観点から看護援助について考察した。繰り返しあらわれた患児の一次過程的な言動に対しては反応しない、内容を取り上げない、解釈しないが、看護者として安定してそこに存在するという対処方法が有効であった。遊びの中に現われた空想を置き換えとして捉え、一緒に遊ぶことで、それを見守り、自由に遊ぶ環境を保障することで患児の自我機能の発達が促進された。看護者が恒常性を保ちながら枠組みを明確に保ち、抱える環境を形成することが患児の対象恒常性の獲得に有効であった。適切な時期に明確な枠組みで母親と面接を行い、母親を支持することが母親の安定化をもたらした。母親の安定化は患児の対象恒常性を強化し、患児の安定化に有効であった。

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© 1993 一般社団法人日本精神保健看護学会
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