日本精神保健看護学会誌
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医療従事者が患者に用いるユーモアに関する文献的考察 : ユーモアの種類と使用状況,反応の分析
榊原 彩渡邉 久美
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2012 年 21 巻 2 号 p. 21-30

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抄録
ユーモアは関係が浅い二者の緊張を緩和するといわれており,患者-看護師間の重要なコミュニケーションであるといえる.この論文では,医療従事者が患者とのやり取りのなかでユーモアを取り入れていることを明らかにし,患者の反応を考察した.文献は,医学中央雑誌のweb版を用い,2001年から2011年の約10年間で抽出した.その結果,25件の文献を分析対象とした.ユーモアの分類は6種類であったが,内容から看護教育においては遊戯,支援,親和の3種類を扱うことが望ましいと思われた.ユーモアが用いられている対象は認知症を含む精神疾患患者が最も多く,使用状況として【対人関係の形成】【日常生活への刺激】【負の感情の緩和】【感情のコントロール】【感情や意欲の引き出し】【治療的アプローチ】が抽出された.また,患者の反応として【気持ちの軽快】【不安の軽減】【その人らしさの回復】が抽出された.ユーモアを用いた継続的なかかわりが精神障害者のリカバリーに寄与する可能性が示された.
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© 2012 一般社団法人日本精神保健看護学会
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