日本精神保健看護学会誌
Online ISSN : 2432-101X
Print ISSN : 0918-0621
ISSN-L : 0918-0621
精神科訪問看護を否定的にとらえた統合失調症をもつ利用者の訪問看護の体験
藤代 知美
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 24 巻 1 号 p. 33-42

詳細
抄録
精神科訪問看護を否定的にとらえた統合失調症をもつ人の訪問看護の体験を明らかにすることを目的とし,Giorgiの記述的現象学的心理学の方法に準じ,7名の利用者にインタビューを行った.分析の結果,【救ってほしい苦しみ】【医療者にはただ従う】【看護師とのあたたかいつながり】【看護師との不調和】【自分でできる生活】の5つの意味が抽出された.信頼関係が十分に確立されず,看護師が利用者の思いを十分に理解できていないために,救ってほしい苦しみと自分でできる生活に対して不調和をきたしていることが考察された.そして統合失調症をもつ人が生活のペースを守ることを大事にしていること,意志表出をしない傾向にあること,自分でできることは自分でしたいと考えているという特性を理解したうえで,信頼関係を構築しながら,利用者の意思表出を促し,共に訪問看護の目標を決定し,そして訪問看護を終結していくための看護が必要であることが示唆された.
著者関連情報
© 2015 一般社団法人日本精神保健看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top