2021 年 30 巻 2 号 p. 9-18
本研究は,当事者参加型シミュレーション教育プログラムの試みと,それによる学生の学びを探求することを目的とする.オプトアウトを経て同意を得た学生のレポートを質的に分析した.結果,精神障害を抱えた当事者から得る学び,リカバリーの視点による当事者理解,精神看護の実践と展望,精神看護におけるスキル,シミュレーション教育からの学びと期待,当事者参加型演習からの学生の成長,そして差別・偏見が存在する現実の7つのカテゴリー,22のサブカテゴリー,92のコードが抽出された.考察として,当事者参加型演習をシチュエーション・ベースド・トレーニングと位置付けたことで,精神看護学シミュレーション教育プログラムを発展させることができた.また,学生の学びとして,知識およびスキルが修得され,自信からの成長とともに態度の変容が明らかになった.自身を語ることについて,学生はリカバリーの視点で考えることができた.