入院中の糖尿病を併せもつ統合失調症患者(以下,糖尿病を併せもつ患者)への看護を行う精神科看護師の経験を明らかにし,看護への示唆を得ることを目的とし,糖尿病を併せもつ患者への看護を経験した看護師12名に半構成的面接を行った.得られた17事例のデータを質的帰納的に分析した結果,7つのカテゴリーが抽出された.
【統合失調症と糖尿病の病状安定の両立を見据える】支援が看護の特色となる一方で,【管理的な糖尿病療養行動支援】や,統合失調症への支援が優先される【看護実践の優先度の判断】もあるとされた.その中で,【糖尿病を併せもつ患者の強みへの気づき】を看護実践へ活用し,【糖尿病を併せもつ患者への看護における充足感】や【糖尿病を併せもつ患者への支援によって生じる葛藤】を感じながら,【より良い糖尿病看護実践への糸口】を見出していた.また,糖尿病集団教育や個別支援などの個々に適した支援やより積極的な多職種協働が,精神科病棟での糖尿病看護実践に寄与する可能性が示唆された.