日本精神保健看護学会誌
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精神疾患のある母親をもつ子どもたちの困難を乗り越える経験
―セルフヘルプグループに集う子どもたちの語りから―
伊賀 聡子横山 恵子森田 牧子
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2024 年 33 巻 1 号 p. 138-146

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抄録

本研究は,精神疾患のある母親をもつ子ども(以下,子ども)たちの語りから,子どもたちが子ども時代の困難をどのように乗り越えてきたのか,その経験が子どもたちの人生にどのように影響しているのかを明らかにすることを目的とした.セルフヘルプグループに集う成人した4名の子どもを対象に,ライフストーリー研究法を用いて,彼らの経験の語りを分析・解釈を行った.

子ども時代,子どもたちは心に蓋をし,その瞬間を生きてきた.大人になるとその経験はトラウマや孤立感,自身の感情に気付きにくい等の生きづらさとなった.彼らは仲間と出逢うことで孤立感から解放され,自己の経験を語ることで自分の人生を捉え直し,生きづらさを乗り越えようとしていた.

子どもたちの成人後の生きづらさからの回復には,仲間と出逢い自己の経験を語ることや,親の精神疾患を理解することが必要であり,支援者は,子どもたちの伴走者として共に歩み,家族全体を視野に入れた支援が必要である.

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© 2024 日本精神保健看護学会
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