日本精神保健看護学会誌
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精神科病棟における患者間の援助行動の諸相
寶田 穂
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1999 年 8 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
本研究の目的は、精神科病棟における患者間の相互作用の様相を描きだし、その意味を考察することである。亜急性期女性閉鎖病棟のホールで、看護業務には参加せず、参加観察を行った。データの分析は、帰納的に行った。その結果、患者間では、"援助行動"と呼ぶにふさわしい相互作用が、頻繁に生じていることが明らかとなった。患者間の援助行動を、"具体的な援助行動""共感""治療者的かかわり"の3つに分類し、その様相を描きだした。その援助行動の背後には、患者の止むに止まれぬ動機がある様に思われ、援助行動の意味を、サールズの提唱する"治療的欲動"によって説明した。患者間の援助行動は、治療的である場合もあるが、内在する問題も深く、様々な葛藤が生じていた。これらを考察し、患者間の援助行動は、治療や看護上、重要な意味をもつことを明らかにした。
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© 1999 一般社団法人日本精神保健看護学会
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