抄録
定義域T上で常に非負の値をとる多項式は正多項式とよばれる.ここでは,2次多項式回帰曲線が複数の区間からなるTの上の正多項式であるという仮説に対する尤度比検定を考える.この仮説を含む階層的仮説に対する尤度比統計量を定義し,その帰無仮説の下での分布をカイ2乗分布の混合分布として導出する.チューブ法の一般論より,その混合確率(重み)は高々2 次の正多項式がなす閉凸錐K とその法錐K* それぞれの境界の体積により与えられる.本論文ではK とK* の境界の1対1のパラメーター表示を与え,その重みを具体的に導出する.また,尤度比統計量の数値計算が対称錐計画によって行えることを説明する.